緊張の音 おしゃれな音 その12
もうひとまわりお洒落になれる転調♪
「緊張の音 おしゃれな音」シリーズで 以前、
星野源『恋』をネタにしたことがありました。→こちら
で、この曲から思い出した曲がありまして、
それは 大江千里『Rain』です。
なんで思い出したかというと、
なんとなく感じが似ているかなぁ と思ったからです。
聴きくらべてみると、原曲のテンポはだいぶ違うけど、
キーが同じ「A(イ長調)」でコードの展開が似てるかな・・・
あれ?でも曲じゃなくて、歌い手のキャラが被る気がする・・・
キャラクターについては、それはちんすけの独りよがりですので、
ファンの方にはそうは思われないかもしれませんが、
そう・・・もう一人出すと 槇原敬之 も近いかも♪
それだ! その色だ!
曲の系統ってことでしょうかね。
でも断っておきますが、大江千里も槇原敬之も ちんすけ好きではないです。
気になる曲はいくつかありますが、どうもしっくり聴けない。
ははぁーん そういう「似てる」なんですね
曲はおしゃれ系ではありますもんね
だから好みでなくても気にはなるという・・・
くだんの『Rain』。1988年にアルバムの一曲として発表され、
シングルにはなっていません。
しかしその後 1998年には槇原敬之が最初にカバー(ほら!)
2013年にはアニメのエンディングテーマとして 秦基博がカバー。
最近では 2016年 民謡日本一歌手・朝倉さやがカバーしてます。
インディーズでも歌われ、YouTubeでも数多くアップされてます。
『Rain』のおしゃれなツボは、転調です。
構成はふつうに Aメロ→Bメロ→サビ
これを次のように転調しています。
A(Aメロ)→F#(Bメロ)→A(サビ)
A→F#の転調は、音楽理論でいうと「短3度下への転調」だそうです。
半音3つ分下への転調。
「ふわっと浮かぶような、とがったような感じがする」と説明がありました。
すみません。自分の素養範囲を超えてるので、ここはだいぶ調べました。
もう少しお付き合いください。
実はBメロは4小節しかありません。短いけれど、ものすごく印象的です。
このBメロ4小節があるだけで、サビへの緊張感が高まります。
さらにここは、Aから直前に1拍だけC#になってF#へ行ってます。
C#1つあるだけで自然なつながり感が生まれます。
おしゃれワザの連携ですね。
そしてBメロからサビヘ、F#→A
そう、元のキーへ戻ります。さっきと逆「短3度上への転調」ですね。
「短3度転調」の行ったり来たりは かなり使われているワザのようです。
しかも、別のおしゃれポイントもあります。
サビヘの転調はつなぎ無しで いきなりコードがDM7(9)に行きます。
AキーにとってDコードは「サブドミナント」といいまして、
コード進行上、不安定な印象をあたえます。
転調後、不安定なコードから始まっているうえに、
メジャー7th だ 9thだが入っていて、緊張感大盛り。
あらら、あまり出したくなかったコトバが出てきちゃいましたが、
「サブドミナント」とか「ドミナント」のコードというのは
安定感のある基のコード「トニック」に戻りたがる性質がある、
と覚えておいてください。
トニック「ドミソ(A)」に対してサブドミナントは「ファラド(D)」、
ドミナントは「ソシレ(E)」です。
こう書くと少しはわかりますでしょ?
ほかに代理コードがなんだかんだとかありますが、パス。
短3度の行ってこいのワザ。サブドミナントから転調がスタートするワザ。
両者をあつかう 大江千里のおしゃれ感覚。すごいです。
短3度の行ったり来たりの良い例にコブクロのヒット曲『桜』があります。
この曲も Aメロ→Bメロ→サビ と転調するパターンですが、
転調後、きっちりトニックから入ってますので わかりやすいですよ。
ようやく咲きはじめた桜に想いを馳せつつ・・・