ビートルズ/アウトテイクあれこれ 其の5
ビートルズのアウトテイクは
これだけスタジオセッションが流出してるくらいですから、
プライベート録音もいろいろ出ています。
有名なところではジョージ宅でのセッション“イーシャー・デモ”。
ホワイトアルバム・セッションに入る直前のセッションです。
つまりはホワイトアルバム『THE BEATLES』用の曲を
たくさん演奏したはずで、確かに多くはそうでした。
しかしながら、ホワイトアルバムに収録されなかった曲も数多く、
たとえば、イーシャー・デモにだけ残る曲や、
アルバム・セッションで完成型まで行ったのに没になった曲もあります。
没になっても作者はやはり自分の曲に愛着があるのでしょう。
後年、ソロになってから発売した曲もいくつか見られます。
今回紹介するのは、ジョン、そしてジョージのそんな曲です。
イーシャー・デモ(1968年5月)は4トラックで録音されていて、
良質で録られたはずですが、あまり良い音では残っていないようです。
まずはジョン・レノンの曲「Child Of Nature」
聴けば「あ!あの曲だ」とすぐわかりますので どうぞ♪
Child Of Nature / THE BEATLES (1968)
1971年のアルバム『IMAGINE』に収録された
「Jealous Guy」と同じ曲、つまりは元歌です。
タイトルも歌詞内容もまったく違っているし、
「Jealous Guy」ではピアノバラードになってます。
でもメロディは変わらず、曲のテンポもゆったり感は一緒。
この曲はイーシャーだけでなくスタジオセッションでも演奏されましたが、
陽の目を見ることはないままビートルズは解散してしまいました。
『LET IT BE... NAKED』でほんの24秒間だけセッション版が聴けますが、
哀愁ただよう曲調とあいまって 感傷的になってしまいます。
ジョージ・ハリスンのほうはもっとしみじみします。
イーシャー・デモで初演、ホワイトアルバム・セッションに持ち込まれ
きちんと録音・ミックスもされたにもかかわらず 没となった曲です。
Not Guilty / THE BEATLES (1968)
ビートルズ時代の「Not Guilty」は
『ANTHOLOGY』や『ULTRA RARE TRAX』でも聴け、
かなり“メジャー”なアウトテイク曲です。
何テイクも録音されたのに ネガティブな内容だからでしょうか
それとも凄すぎるクリエーター二人にはさまれて、
“若僧”の曲の居場所は無かったのか・・・
公式発表されることはありませんでした。
10年以上たち ジョージの悲しみも癒えた(?)1979年、
ソロアルバム『慈愛の輝き』にようやく収録。
アレンジをシャッフル・ロックから
ジャジーでおしゃれな雰囲気へとガラッと変えています。
ただ歌詞はほとんどそのまま。
こだわりがあったんでしょうね。
もちろんポールにも没→復活曲はあります。
ビートルズは 緻密な中にも感覚とかひらめきで
次々に新しい音を創り出していましたが、
アルバム収録曲などは 雑多なことも含めて
大人の事情に振り回されていたことは想像に難くないです。
ということで、アウトテイクあれこれを〆ます。
ファンですから また何か言い出すかもしれませんけどね