続・ミッシェルは凄い♪
“続”となっていますが、書きたかったのはこっち。
こちらが本編ですよー
♪ミッシェル(Michelle)
ビートルズ(The Beatles)の人気ランキングで
常に上位に入るバラードの名曲。
この曲、いろいろと凄ワザが盛り込まれておりますが、
コードを採っていて「おー、これは!?」という
自分的には目が覚めたことがあります。
上級編☆☆☆
イントロで Fm - FmM7 - Fm7 - Fm6 の下降進行(クリシェ)に対する
画期的なベースラインには驚きました(前回の中級編参照)。
続く歌い出しからのコード進行は いくつかのコード譜サイトでは
F - B♭m7 - E♭6 - Ddim7 - C7 ・・・・・となっていて
歌いはじめのコードは F です。
おお これはマイナー(短調)からメジャー(長調)に
転調したのだなと思いつつ
2小節目の B♭m7 へいきます。
しかし一緒にギターを弾いてみると
おかしい、聴こえるのは B♭m7 じゃないぞ、なんだこれは?
半音はずれたような明るい音が聴こえるのです。
ためしにメジャーコード B♭7 を弾くと良い感じがします。
でもやっぱり濁ったようなマイナーな音は聴こえます。
いろいろ試した結果
調を決定する3度の音が メジャーの 3rd も マイナーの♭3rdも
入っているということがわかりました。
1st, ♭3rd, 3rd, 5th, ♭7th という構成音です。
♭3rdを1オクターブ上のテンション音 #9th にして
コード名としては B♭7#9 ではないかと考えました。
テンションの表記は#を+、♭を-で書けるので、
B♭7+9 でもよいです。
考えましたが、じつはこのコード
絶対的な不協和音で、普通使われません。
調を決める 3rd は半音下と両方鳴らしたら強力に濁ります。
半音上の場合 sus4 として 3rd を同時に弾きませんから。
しかしながら曲の中で聴いてみると
メジャーなのかマイナーなのかよくわからない
フワッと感がそこはかとなく漂い、
シャンソン風の“アンニュイ”な雰囲気が醸し出されます。
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)は
偶然なのか意図的なのかはわかりませんが、
“そういう臭覚”に秀でた人間であるということでしょう。
すぐ次のコードも E♭6 と、これまた浮遊感コテコテの6thで、
その次もディミニッシュ(dim)コードでグイグイ言わせるなんて
普通のセンスを超えています。
あの名曲『イエスタデイ(Yesterday)』では
普通ならAメロ・1ヴァースが8小節というところを
7小節で作ってますからね。
それもトリッキーでなく自然に・・・
もう参ってしまいます。
なお、『ミッシェル』はオリジナルキーは Fm ですが、
ギターの場合 カポタスト1で Em が弾きやすいですし、
イントロのベースライン再現にも都合が良いです。
カポ1での歌い出しはこう
E - A7+9 - D6 - D♭dim7 - B7 ・・・・・
やっぱり最後はモノホンを聴いて クリビツしましょう
歌は3分間のドラマとはよく言ったものですが、
2分40秒の中にこれだけ音のドラマがあるなんて
凄いことです!