If I Fell の転調はど~~こだ!?
ほんっとにビートルズは
いろんなメロディを様々なアイディアで作り続けた天才でした。
『If I Fell』という曲があります。
ジョン・レノンが作った初めてのバラードといわれています。
この曲はイントロ無しでいきなり歌うのですが、
初めて聴くと「え?何処行くのメロディ?」となる
とっても不安定不可思議な進行です。
本体(Aメロ+サビ)はキレイな二重唱(ハモリ)で進むので
はじめの8小節は歌ありのイントロととらえて良いでしょう。
その8小節のコード進行は(〇内は小節番号)
①E♭m ②D ③D♭ ④B♭m
⑤E♭m ⑥D ⑦Em ⑧A7
ギターを弾き慣れてない人には何と難しいコードでしょう!
キー(調)はいったい何なのか? 転調してるよねぇ?
等々・・・わからないことだらけ。
そのあたりを解き明かしてみましょう♪
1.キーは何か?
E♭m が最初にあるから E♭m 、というのは違うかも。
1~4小節目に注目します。。
2小節目の D はちょっと置いといて、
わかりやすく♭をとって全体を半音上げてみます
[1]Em [2]□ [3]D [4]Bm となりますね。
これはわりと使うコード進行だと思います。
□には A7 なんかが入るとイイ感じじゃないですか。
Em - A7 とした場合、これはコード進行の話をするとよく出てくる
ツー・ファイブ(Ⅱ-Ⅴ)です。
Ⅱ-Ⅴの次にはⅠが来て Ⅱ-Ⅴ-Ⅰとなることが多く、
このⅠこそコード進行のキー(トニック)なわけです。
見るとまさにⅠである D が来てるじゃないですか!
長くなるので説明はおしまい。
参考までに下を・・・
≪キー「D」3和音のダイアトニックコード≫
Ⅰ= D
Ⅱ= Em
Ⅲ= F#m
Ⅳ= G
Ⅴ= A
Ⅵ= Bm
Ⅶ= C#dim
2小節目の□に E♭ を入れても成立するのは
E♭ が A の“代理になれる裏コード”だからです。
Ⅴ→♭Ⅱなのですが、面倒なので説明は省きます。
これで全体をもとの半音下げて
出だしのキーは D♭ ということになります。
2.転調はどこからか?
次はどこで転調するかということですが、
5、6小節は1、2小節と同じなのでここはまだでしょう。
そうです。7、8小節が Em - A7 じゃないですか。
先ほど半音上げで説明したのと同じコード進行が出てきました。
ちなみに9小節目が D なので Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ。
以上のことから 転調は7小節目から、
D♭ から D へ半音転調して
そのまま最後まで行くということになります。
わかりやすくしたつもりが
半音かぶりでややこしくなっちゃったですかね?
『If I Fell』が入っている
オリジナルアルバム『A Hard Day's Night』には
他にも転調のある曲が散見されます。
『And I Love Her』
間奏でいきなり半音上への転調。
『I'll Be Back』
マイナーとメジャーを行ったり来たりする同主調転調。
このころ、ジョンとポールは転調やハーモニーに凝っていたのでしょうか。
こんなに難解なワザを使って
あんなにきれいなメロディを生み出すなんて、
ジョンがテキトーに作ったとは思いませんが
とっても飛んでます
もちろん理論的に作ったのではないでしょうけれど、
感性が秀でてるとしか言えないですね♪